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毒を吐くのは自己防衛|職場のぴぃ子シリーズ#10

介護で575

花や人 自己防衛に 毒を吐く

目次

ケシの花を見ながら

ある日、Jさんと地域活動の場まで一緒に歩いていた時のことです。
(地域活動・・・Jさん一話 認知症の優等生 参照)

道端に咲いているケシの花を見ながら、Jさんがぽつりと話し始めました。

ケシは毒があることで有名だろう

でもな、花は動けないから、
自己防衛のために、
多かれ少なかれ
どの花も毒を持っているんだ

毒を吐いて、
虫や鳥から身を守って、種を残している。
自己防衛さ

そう話すJさんの言葉は、植物の話のようでいて、どこかご自身のことを話しているようにも聞こえました。

俺も自己防衛なんだよ

少し間をおいて、Jさんは笑いながら続けました。

俺も息子にボスの座を取られたからな

自己防衛のために、
息子に毒を吐かないとやってられないよ〜

Jさんらしい、少し照れたような言い方でした。

息子さんはとてもまめに来てくださる方です。

食品や日用品を補充し、通院にも同行し、お薬の管理もしてくださる。

本当に誠実で、Jさんの暮らしをしっかり支えている方です。

薬飲んだか?酒飲んでないか?

でも、Jさんにとっては、その支えが時に「管理されている」と感じることもあるのかもしれません。

人の顔を見れば、薬飲んだか?
酒飲んでないか?
金使いすぎるな!だぜ

好きにさせてくれ〜

くらい、言わせてくれよ

そう言って笑うJさん。

その言葉には、息子さんへの不満だけではなく、親としての立場が少しずつ変わっていく寂しさも混ざっているように感じました。

ボスの座を取られた

息子にボスの座を取られた

この表現が、とてもJさんらしいなと思いました。

若いころから家族を支え、自分で決め、自分で動いてきた方にとって、誰かに心配され、確認され、管理されることは、ありがたい反面、少し悔しいことなのかもしれません。

息子さんの愛情も本物。

Jさんの「好きにさせてくれ」も本音。

どちらも間違っていないからこそ、親子のやりとりには、少し毒のある言葉が出てしまうのかもしれません。

毒の奥にあるもの

花が毒を持つのは、誰かを傷つけたいからではなく、自分を守るため。

Jさんの毒のある言葉も、きっと同じなのだと思います。

自分の暮らし。

自分の役割。

自分の誇り。

それらを守るための、Jさんなりの自己防衛。

私は、ひとり暮らしの方からこうした本音を聞ける時間が好きです。

言葉の奥に、その人の人生や誇りが見えるからです。

Jさんの「毒」は、ただの文句ではなく、

まだ自分らしく生きていたいという気持ちの表れなのだと思うのです。

Jさん一話 認知症の優等生

Jさん三話 人生の自慢は妻と結婚さ

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介護のリアルを
「4コマ漫画+川柳」で届けるブログ。

認知症の母との日常と、
ケアマネとして見てきた現場の記録。

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