介護で575
本も読み 優等生の 認知症

本も読み 優等生の 認知症
数年前からアルツハイマー型認知症の診断を受けている、80代男性のJさん。
歴史や茶道、美術館巡りなど、もともと多趣味な方で、奥様がご存命のころは、ご夫婦でいろいろな場所へ出かけて楽しまれていました。
奥様が十数年前に亡くなられてからも、Jさんは地域活動に参加されていました。
地域活動に行けなくなってきたJさん
ところが、この数年は物忘れが進み、地域活動の日にちや時間が分からなくなり、参加できないことが増えてきました。
それでも、参加できた日はとても生き生きとされるそうです。
街の清掃ではリーダーシップをとり、会の中では司会進行も堂々とこなされる。
地域包括支援センターの方からも、
「参加できれば、とてもお元気に活動されるんです。参加できないのが本当に残念で」

参加できれば、
とてもお元気に活動されるんです。
参加できないのが本当に残念で
と話がありました。
訪問日を地域活動の日に合わせる
そこで、ある時から、私の毎月の訪問日を地域活動の日に合わせることにしました。
地域活動が始まる30分前にJさんのお宅へ訪問し、訪問後に一緒に集合場所まで向かうようにしたのです。
その日、私は初めて、Jさんが地域活動の場で堂々と司会進行されている姿を見ました。
いつもの訪問時とは少し違う、背筋の伸びたJさん。
声もはっきりしていて、場の空気を自然にまとめていました。
俺は認知症の優等生なんだぞ!
思わず私は、



Jさん、すごいですね。
慣れていらっしゃいますね
と声をかけました。
するとJさんは、少し照れたように笑いながら、



あんたは知だろうがな、
俺は本も読むし、
認知症の優等生なんだぞ!
そして続けて、



俺の違う部分が知れるから、
これからも一緒に地域活動に来いや〜
と笑って話されました。
きっとそれは、Jさんなりの照れ隠し。
私の訪問日と地域活動の日を合わせることで、
また参加できるようになったことへの、Jさんらしい感謝の言葉だったのかもしれません。
できる力が見える場所
認知症になっても、できなくなることばかりではありません。
その人が輝ける場所。
その人が役割を持てる時間。
そこへつながる小さなきっかけがあれば、見えていなかった一面に出会えることがあります。
私にとっても、Jさんの「違う部分」を知ることができる、大切な訪問日になっています。
次回も、Jさんのエピソードを書きたいと思います。
Jさんシリーズ:毒を吐くのは自己防衛




コメント